映画情報
日本公開 1955年
制作国 アメリカ
原題 Rear Window
原作 ウィリアム・アイリッシュ
監督・制作 アルフレッド・ヒッチコック
キャスト
L・B・ジェフリーズ -ジェームズ・スチュアート
リサ・キャロル・フレモンド -グレース・ケリー
ラーズ・ソーワルド -レイモンド・バー
ステラ -セルマ・リッター
トーマス・J・ドイル刑事 -ウェンデル・コーリイ
あらすじ
カメラマンのジェフリーズ(ジェフ)は世界をまたにかけ危険な撮影を職業にしています。ある日カーレース中の撮影で事故に巻き込まれ左足を骨折してしまいギプスをはめ自宅で車いす生活を送るはめになり、裏窓から見える隣人の様子を眺めているうちにそれぞれの部屋の窓にドラマがあり、部屋の住民にあだ名をつけたりして楽しむようになってました。あと一週間でギプスが取れるようになりました。
そんなある日いつも夫婦喧嘩している中年夫婦のセールスマンの夫ソーワルドが深夜にトランクを持って出たり入ったりしているのを目撃し不審に思います。次の日から妻の姿が見えません。ジェフは怪しいと疑ります。
毎日自宅に来てくれジェフを疎ましく思い早くこの仕事が終わる事を願う看護師のステラや結婚したがっているがジェフリーズがためらっており、世界をまたにかける危険な撮影をやる雑誌をやめてポートレートやファッションの仕事に変わってほしいと願うファッション業界で働いているリサにもその事を話しますが信じてくれません。近所を覗いてあれこれ詮索するのはやめるようにたしなめられます。
しかしジェフの疑いはエスカレートし、ぼんやりと窓の外を眺めているだけだったのが双眼鏡を使ったり仕事用の一眼レフに望遠レンズをつけて「のぞき穴」と称して使用するようになります。そんな夜リサと一緒にソーワルドが大きなトランクをロープでぐるぐる巻きにしている光景を目撃し「最初から話して」リサも信じ始めます。ステラも信じるようになりリサと共に協力してくれます。
リサが部屋に潜入した際に見つかり、ジェフの知り合いのドイル刑事に連絡しなんとか警察が駆けつけて助かるがリサは不法侵入で逮捕されてしまいます。その際窓からジェフにジェスチャーしていたのをソーワルドに気づかれジェフの方を見たソーワルドと目が合ってしまいました。慌てて電気を消すジェフですが遅かった。
その後ソーワルドを監視しながら電話でドイル刑事と会話して切った直後にソーワルドがいなくなり電話が鳴ります。「ドイル、ソーワルドが逃げた」ドイル刑事と勘違いして話してしまい、無言の相手が誰なのか察します。やってきたソーワルドと格闘になりアパートの窓から足から落下、一命を取り留めます。
警察やリサやステラがかけつけてソーワルドは逮捕されます。花壇をかぎ回っていた近所の犬が殺されたので調べていたら帽子の箱の中に何かがみつかったと刑事「見るかね」と話すドイル刑事へ「バラバラは結構よ」と話した後ハッとした顔になるステラ。
シーンが変わりまた平穏な近所の風景。
ジェフの部屋では両足へギプスを着けて窓に背を向け車椅子に座り、うとうとするジェフの傍らで雑誌をめくるリサ。題名は「ヒマラヤを超えて」またファッション雑誌へ持ち変え微笑むリサ。
感想
この作品はテレビで随分前に見て以来今回改めて見てみましたがヒッチコック映画特有のユーモアとサスペンスのバランス具合からくる雰囲気がいいですね。ヒッチコックの映画はどれも好きですがこの映画はヒッチコックお気に入り女優のグレイス・ケリーのチャーミングな演技が魅力の一つですね。
また自由に動けなく見る視野も限定された主役ジェームズ・スチュアートが足が痒いのに掻かずに孫の手を使い安堵の表情を見せるシーンにこの映画の怖さが象徴されている気がします。ラストのシーンでステラ役のセルマ・セッターが「バラバラは結構よ」と言った後のハッとする表情が何を表しているのか世間では謎とさせています。
昔見た時もしっくりしない感じだったけどわからないのは自分だけだろうと深く考えないままでしたが、今回改めて考え続けた所、自分なりの考えが浮かびました。以前何かで知ったのですが西洋人は日本人に比べてシンメトリーな左右対象な物を好むそうです。
左足のギプスがもうすぐ取れてジェフから離れられるのを楽しみにしていたステラは両足から落下したジェフを目の当たりにして看護婦の目線から次は両足共バラバラではなく揃ってギプスになるのを自分が語った「バラバラは結構よ」の後、想像してハッとしたのではと思ったのですが、どうでしょうか。
最後にジェフはもう懲りたのか窓に背を向けて窓の外への興味から解放された様な表情で車椅子に座って寝ています。その横のベッドの上でリサはヒマラヤの雑誌を読みながらジェフを睨みます。その後ファッション雑誌を手に取り微笑むのでどうしても危険な仕事は辞めてほしい様ですね。果たしてその後二人は結ばれるのでしょうか。
まとめ
映画の中で登場するカメラは旧東ドイツのドレスデンに本社があるイハーゲ社の一眼レフカメラ、エキザクタ・バレックスです。このカメラは左利き用です。望遠レンズを取り付けて覗き用として使われ最後はフラッシュによる威嚇用として活躍しますが、肝心のカメラとしての撮影は一度もやってません。
女優のグレイス・ケリーは映画内でファッション業界人の設定らしく毎回登場する度に違う服を着ています。そこも一つの見どころです。当時25歳、この作品でニューヨーク映画批評家協会賞とナショナル・ボード・オブ・レビューの主演女優賞を受賞しています。
ヒッチコック監督のカメオ出演は作曲家の部屋で時計の、ネジを巻く人の役で登場しています。
最期までご覧いただき、ありがとうございます。